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今回は、中和についての問題です。グラフや表を読みとって、計算問題をバッチリ解けるようになるのが目標です。
中和のしくみ |
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「中和(ちゅうわ)」というのは、 酸性の水よう液とアルカリ性の水よう液が反応しあって、 塩と水ができる反応のことです。 塩は、「えん」と読みます。「しお」ではありません。
代表的な塩が、「食塩」です。 食塩は、塩酸と水酸化ナトリウム水よう液とが反応してできる塩なのです。塩酸と水酸化ナトリウム水よう液(面倒なので、これからは「すいナト」と読みます。テストのときに「すいナト」と書いたら、確実にバツです。)をうまくまぜると、中性になるのです。
塩酸とすいナトの反応を、くわしく解説します。 塩酸の本名は塩化水素、すいナトは水酸化ナトリウムのこと。
塩化水素の「塩化」の部分と、 水酸化ナトリウムの「ナトリウム」の部分とで、 「塩化ナトリウム」という物質ができるのです。 「食塩」とは、この「塩化ナトリウム」のことです。
また、 塩化水素の「水素」の部分と、 水酸化ナトリウムの「水酸化」の部分とで、 「水」ができるのです。 ですから、酸性の液とアルカリ性の液とで、 食塩のような「塩(えん)」と、水ができるのです。
でも、中和反応で、必ず食塩ができるわけではありません。 たとえば、塩酸と石灰水の反応を考えてみましょう。 塩酸は酸性、石灰水はアルカリ性ですから、中和しますね。
まず、塩酸の本名は「塩化水素」、 石灰水の本名は「水酸化カルシウム」です。
塩化水素の「塩化」の部分と、 水酸化カルシウムの「カルシウム」の部分とで、 「塩化カルシウム」という塩(えん)ができるのです。 水もできますね。
では、酸性の液として「りゅう酸」、 アルカリ性の液として「水酸化ナトリウム水よう液」にしたら、どんな塩(えん)ができるでしょう。
「りゅう酸ナトリウム」という塩(えん)ができます。
りゅう酸とアンモニア水だったら?
硫酸アンモニウムができます。
炭酸水と石灰水だったら、
石灰水の本名は「水酸化カルシウム」ですから、 「炭酸カルシウム」という塩ができます。
この「炭酸カルシウム」という塩は、水にとけない物質です。 ですから、白くにごるわけですね。 これで、「石灰水の中に二酸化炭素をふきこむと白くにごる」ときの、にごりは「炭酸カルシウム」であることがわかりましたね。
さて、ここで本名が何かを答える問題です。 塩酸、食塩、石灰水の本名は何でしょう。
塩酸は「塩化水素」。 食塩は「塩化ナトリウム」。覚えなくても、塩酸(塩化水素)と水酸化ナトリウムの中和からわかりますね。 石灰水は「水酸化カルシウム」。石灰水の「灰」ということばは、「カルシウム」をさすものだ、と覚えてください。
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今回は、グラフを読みとれるかどうかが大切です。しっかり学習しましょう。
グラフ |
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グラフには、 「残った固体のグラフ」 「完全中和のグラフ」 「中和のときの温度のグラフ」 などがありますが、もっともむずかしいのは「残った固体のグラフ」です。
まず、かんたんな「完全中和のグラフ」から考えてみます。 これは、塩酸とすいナト(水酸化ナトリウム水よう液のこと。テストのときには略してはいけません)を、どんな割合で混ぜ合わせると完全中和するかを表したグラフです。
このようなグラフになります。 塩酸の量と、すいナトの量は、比例しています。 ですから、比を求めて解いていきます。
では次に、「中和のときの温度のグラフ」を考えてみます。 すいナトをビーカーに入れておいて、そこに塩酸を少しずつ加えていったことにしましょう。すると、水よう液の温度は、どのように変化していくでしょう。
塩酸を加えていくと、すいナトと反応して、中和していきます。 中和すると温度が上がるので、このようなグラフになります。
でも、完全中和してからは、もう中和しないので温度は上がっていきません。「よけいな塩酸を加えるだけ」で、塩酸はつめたいので温度は下がっていきます。お風呂のお湯の中に水を入れていくようなものですね。
では、もっともむずかしい「残った固体のグラフ」について考えてみましょう。むずかしいのですが、テストにも大変よく出題されます。
ビーカーの中にすいナトを入れておいて、そこに塩酸を少しずつ加えていってみましょう。 もちろん固体が水よう液の中に見えるわけではありませんが、水よう液を蒸発させると、とけていた固体が出てきます。その固体の量についてのグラフを考えるのです。
塩酸をまったく加えなくても、固体が出てきます。 というのは、塩酸を加えないときは、ビーカーの中は水酸化ナトリウム水よう液そのもの。水酸化ナトリウムは固体ですから、その水酸化ナトリウムが出てくるのです。
塩酸を少しずつ加えていきます。どんどん中和していきますね。 ビーカーの中の水酸化ナトリウムの量は、中和されて減っていきますが、かわりに、中和の結果「食塩」がどんどんできてきますので、固体の量はどんどん増えていきます。
完全中和してからは、もういくら塩酸を加えても、塩酸があまるだけ。塩酸は気体が水にとけたものですから、蒸発させるとなくなってしまいます。よって、完全中和してからは、もう固体の量は増えません。水平なグラフになります。
ここで、グラフが何の物質を表しているかを考えてみましょう。 塩酸を何も加えなかったときの点は、水酸化ナトリウムだけを表しています。
塩酸を加えていくと、水酸化ナトリウムは中和されてどんどん減り続け、かわりに食塩がどんどんできてきます。 完全中和するまでは、ビーカーの中には「水酸化ナトリウム」と「食塩」の固体がとけている状態になります。
ちょうど完全中和したときは、もう水酸化ナトリウムは残っていないし、塩酸もちょうどなくなっています。 つまり、食塩だけの状態になっています。 完全中和をすぎても塩酸を加えていくと、多すぎるぶんの塩酸があまってしまいます。あまった塩酸は、気体がとけたものですから、ビーカーの中には「食塩」の固体しかありません。
では、「残った固体のグラフ」ではなく、 「食塩の量のグラフ」だったらどうなるでしょう。 まず、自分で考えてみてください。
塩酸をまったく加えていないときは、ビーカーの中は水酸化ナトリウムだけ。つまり、中和がおこっていないので、食塩はまったくできていません。
塩酸を加えていくと、中和のはたらきで、どんどん食塩ができてきます。でも、完全中和してからは、いくら塩酸を加えても、もう水酸化ナトリウムがないので中和はおこりません。つまり、食塩の量は変化しません。
では、たて軸を「すいナトの量」にしたら、どうなるでしょう。 また、自分で考えてみてください。
塩酸をまったく加えていないときは、ビーカーの中は水酸化ナトリウムだけ。
塩酸を加えていくと、水酸化ナトリウムと中和するので、水酸化ナトリウムの量はどんどん減っていきます。 完全中和のところで、とうとう水酸化ナトリウムはなくなります。 さらに塩酸を加えていっても、加えた塩酸があまるだけ。 もう水酸化ナトリウムはなくなっていますから、このようなグラフになります。
さあ次は、ビーカーの中に塩酸を入れておいて、水酸化ナトリウム水よう液をどんどん加えていったときのグラフを考えてみましょう。
すいナトをまったく加えていないとき、ビーカーの中は塩酸だけ。塩酸は塩化水素という気体がとけたものですから、固体はまったくありません。
すいナトを加えていきます。 すると、加えたすいナトはすぐ塩酸と反応して中和し、食塩ができてきます。ですから、このようなグラフになります。 ここで、ふえている固体は水酸化ナトリウムではなく、中和でできた食塩であることに注意してください。
完全中和してから、さらに水酸化ナトリウムを加えていくと、水酸化ナトリウムがあまっていきます。 あまった水酸化ナトリウムのぶんだけ、グラフは(前よりはゆるやかにはなりますが)上がっていきます。
ここで、グラフが何の量を表しているかを考えてみましょう。 完全中和するまでは、加えたすいナトは、すぐ塩酸と反応して中和し、食塩ができるのでした。 つまり、水酸化ナトリウムはまたたく間になくなってしまうわけです。
完全中和したときには、ビーカーの中は食塩だけがとけている状態になっています。 完全中和したあとも水酸化ナトリウムを加えていくと、加えたぶんの水酸化ナトリウムがあまります。よって、ビーカーの中は、完全中和までにできた食塩と、あまった水酸化ナトリウムの状態になります。
完全中和のあとの部分が、水酸化ナトリウムの固体を表していることに注意しましょう。
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指示薬 |
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今回は、指示薬について知らないとどうにもなりません。 しっかり復習しておきます。 このような表をバッチリ覚えればそれでおしまいですが、いろいろな色があるので、覚えにくいと思います。
たとえばリトマス紙の場合なら、 「中性では色が変わらない」として覚えます。 確かに、赤色リトマス紙は中性なら赤、 青色リトマス紙も中性なら青になっています。
また、リトマス紙は「酸性では赤」として覚えます。 確かに、赤色リトマス紙も、青色リトマス紙も、酸性では赤になっています。
さらに、「アルカリ性のときは青」です。 まとめると、 「リトマス紙は、中性のときはもとの色のまま。酸性では赤、アルカリ性では青」 ということになります。
次は、BTB液の色です。 これは、「酸性、中性、アルカリ性」の順に、 「き・み・あお」となっています。
赤(むらさき)キャベツ液は、もっとも覚えやすくなっています。 というのは、指示薬の名前の中に、答えがかくされているからです。 まず、酸性は赤、
中性はむらさき、
アルカリ性は、「キャベツ」の「キ」、つまり黄色。 一発で覚えられますね。
フェノールフタレイン液は、「むむあか」として無理矢理覚えてしまいましょう。
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